「親の育て方が悪いから発達障害になる」とかいう、例の法案です。
正式には「家庭教育支援条例案」というようです。
まあ、内容のエセ科学ぶりが凄まじくて、さすがの橋下さんも「僕は聞いていない」「市議団の方針について決定権はない」「見直しを指示した」などとおっしゃっているようです。
(市長として市議団の方針に決定権はなくても、党の代表としての責任はあると思うんですけどね)
「発達障害は器質的な問題やねんから家庭教育とは関係ないやろ」とか「伝統的子育てってそもそもどんなんやねん、伝統っていつごろやねん」とかツッコミどころは多々ありますが、既に色々意見が出ていることもあり、被る部分は他力本願として、特に問題だと思うのがこの点。
まず、家庭環境の困難(虐待など)を「予防する」ことのみに限定して書かれており、既に起きている問題に対処するものではない、ということです。
虐待された子どもを救済したり、現に虐待している親をサポートして、よりより家庭環境が築けるようにサポートするような発想はありません。
発達障害に対してもそうです。現に発達障害を抱えている子どもやその親に対して、何かサポートをするものではないわけです。
また、家庭内の困難について、その家庭内の一人一人を取り巻く様々な環境に対する配慮、それを解決するためのサポートという視点がありません。「社会総がかりで取り組まねばならない」との文言がありますが、その対象は子どもの救済とか権利保障ではなく、あくまで「家庭教育の支援」なのです。
また、その「支援の内容」とは、「親の学び」であり、「親の学びの手引き書」を配布することであり、そして「親学アドバイザー」の育成だったりするわけです。
「親学アドバイザー」ってのは、「親学推進協会」という、特殊な政治的意図を持っているとしか思えない財団法人が認定する民間資格です。
ここから見えてくるのは、虐待、発達障害等の問題が発生したら、「それはちゃんと親学やってなかった親が悪いよね」という決めつけと、行政としての責任放棄。
そしてもう一点。「こういう教育すればうまくいくよ」という、一部の人間による特定の思想を押し付けるということ。
結局、子どもをダシにして、「親学」を通じた特定の思想を押し付ける、直接的に言えば
「洗脳しちゃおう」
ってのがこの法案の狙いじゃないのでしょうか。他にもまあ、「発達障害は先天的なモンやねんから、環境とは関係あれへん、せめてWikipediaぐらい読んでから書け」とか、
「発達障害を抱えて凄い業績残してる人がおるやん」とかね。
http://kinpachisensei-2007.livedoor.biz/archives/50596099.html
橋下氏の真意はわかりませんが、少なくとも橋下氏の人気に便乗した維新の会の議員さんたちがこういう発想の持ち主であるということは覚えておきましょう。
実は今日、図書館で借りた橋下氏の著書を読んでいたんですが、なるほどと感心することも多々ありました。親学の教育思想は、橋下氏の嫌いな?公務員的体質の人間を育てることにあるように思うのですが、その辺はどうお考えなんでしょうね。
それでは、リンク紹介です。
特に問題とされている、発達障害に関わる部分については、こちらが短くまとまっています。
大阪市「育て方が悪いから発達障害になる」条例案について
http://d.hatena.ne.jp/lessor/20120502/1335985207
条文全文はこちらで。リンクも多数。
子どもが泣く街、大阪(3)〜親も泣く家庭教育支援条例
http://akiharahaduki.blog31.fc2.com/blog-entry-968.html
条文ひとつひとつに丁寧にツッコミを入れているのがこちら。じっくり読む価値があります。
大阪維新の会のエセ科学的「家庭教育支援条例(案)」逐条批判
http://www.kotono8.com/2012/05/03oyagaku.html
「親学」についての言及も。
トンデモ教育論「親学」を推進してる人たちの話
http://d.hatena.ne.jp/tsumiyama/20120504/p1
他にもいろんなサイトを参考にさせていただきました。ありがとうございます。
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
リアルタイムで多彩な情報はtwitterで。(少々tweet多めな点ご了承ください)
ブログの感想・コメントも気軽にリプライください。
@k2guitar(けにぃ)をフォロー